ヤマサキ・トヨコ。小説家、作家。
1924年11月3日、大阪府生まれ。本名、杉本豊子。京都女子専門学校(現・京都女子大学)を卒業した44年、毎日新聞大阪本社に入社。翌45年に学芸部所属となり、当時の上司だった井上靖の影響を受けて小説の執筆を始める。在職中の57年、生家の昆布商をモデルにした「暖簾(のれん)」(東京創元社刊)で作家デビュー。58年には、吉本興業の女性創業者をモデルにした「花のれん」(中央公論社刊)で第39回直木賞を受賞した。受賞を機に毎日新聞を退職し、作家業に専念。大学病院や医学界の暗部を描いた65年の「白い巨塔」(新潮社刊)以降は、実際の事件や社会問題を題材とした作品を次々と発表する。政財官の癒着を描いた「華麗なる一族」(73年、新潮社刊)、中国残留日本人孤児の生涯を描いた「大地の子」(91年、文藝春秋刊)、日航機墜落事故を題材とした「沈まぬ太陽」(99年、新潮社刊)などの作品はいずれも人気を博し、主要作の多くが映像化された。綿密な取材に基づいた重厚な作風が高く評価される一方で、資料の引用などをめぐって盗用が指摘されることもあった。2013年9月29日に心不全のため死去。88歳。同年8月に「週刊新潮」で連載を開始した「約束の海」が遺作となった。