フアン・カルロス・イッセイ。スペイン国王。
1938年1月5日に、亡命先だったイタリアのローマで生まれる。75年に、スペインで独裁政権を敷いていたフランコ総統が死去。王政が復活し、国王に即位した。即位後、独裁体制を放棄して立憲君主制を確立し、民主化を推進。国民から「民主化の象徴」として人気を集めた。81年、フランコ政権時代に特権階級だった軍の右派による議会占拠事件が勃発したが、兵士を説得し、テレビ放送で国民に民主化への支持を訴えてクーデターを防いだ。一方、近年では自身を含む王室の不祥事が続き、国民の批判にさらされていた。2012年、国が財政危機に陥り、国中が節約に取り組んでいるなか、アフリカ南部のボツワナで象狩りをしていたことが発覚。高額の旅行に批判が殺到し、謝罪に追い込まれた。また、次女のクリスティーナ王女の夫に公金横領の疑いがかかり、王女も関与したとされ、14年2月には王女が裁判所で尋問を受ける異例の事態も起きた。同年6月2日、テレビの演説で王室を再生させるためとして退位を発表。長男のフェリペ皇太子への譲位を表明した。近年、健康不安を抱えていたこともあって、同年1月の世論調査では、皇太子への譲位を求める声が62%に達していた。