ホウショウ・カン。能楽師。
1934年5月15日、東京都生まれ。能楽師である父の宝生弥一と、祖父の宝生新に師事。41年「葵上(あおいのうえ)」で初舞台を踏む。43年に「岩船」で初ワキ。70年代には、能楽に新風を吹き込んだ観世寿夫(かんぜひさお)が率いる「冥(めい)の会」に参加し、ギリシャ悲劇などにも出演する。伝統的な能に取り組む一方、独自の工夫や解釈を取り入れた演技で実力派のワキ方として存在感を発揮した。また、新作能の上演や古い曲の復活などにも尽力。ワキ方の後進を育成するため、国立能楽堂で講師も務めるなど、能楽界の発展に貢献してきた。91年に、第48回日本芸術院賞受賞。94年には、無形文化財保持者(人間国宝)に認定される。96年、紫綬褒章受章。2001年に、ワキ方下掛(しもがかり)宝生流十二世宗家を継承する。14年、文化功労者に選ばれる。16年2月1日、食道がんのため死去。81歳。