ナカムラ・ヒロコ。ピアニスト、作家。
1944年7月25日、山梨県生まれ。本名、福田紘子。夫は作家の庄司薫。幼少時からピアノを始め、3歳のときに桐朋学園音楽科の前身である「子供のための音楽教室」1期生として、井口愛子に師事。全日本学生音楽コンクールでは、小学生部門、中学生部門を制し、天才少女として注目される。慶應義塾中学校3年生時の59年には、第28回日本音楽コンクールで第1位特賞を史上最年少の15歳で受賞。その後、アメリカのジュリアード音楽院に留学し、65年にショパン国際ピアノコンクールで4位に入賞し、最年少者賞を受ける。以後、日本を代表するピアニストとして世界各国で演奏活動を続けるほか、チャイコフスキー、ショパン、ロン・ティボー、ヴァン・クライバーンなど数多くの国際コンクールの審査員も務める。94年から15年間にわたって浜松国際ピアノコンクールの審査委員、委員長も歴任した。さらに、日本赤十字社を通じたボランティア活動などにも積極的に携わった。また、文筆家としても知られ、89年には国際ピアノコンクールの舞台裏を著した「チャイコフスキー・コンクール」(88年、中央公論新社)で、第20回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。その他の著書に、エッセー集「ピアニストという蛮族がいる」(95年、文藝春秋)などがある。2008年紫綬褒章を受章。09年には、デビュー50周年を記念し、80回を超える全国コンサートツアーを行った。14年に大腸がんが見つかり、その後は休養と復帰を繰り返しながら、16年5月まで精力的な演奏活動を続けてきた。同年7月26日、大腸がんのため死去。72歳。