フナド・ヨイチ。作家。
1944年2月8日、山口県生まれ。本名は原田建司。早稲田大学法学部に在学中、探検部に所属してアラスカなどを巡る。出版社勤務や海外での放浪を経てフリーのルポライターになり、豊浦志朗というペンネームで「硬派と宿命」(75年、世代群評社)、「叛アメリカ史」(77年、ブロンズ社)など、海外民族紛争地域のルポルタージュを発表。79年、船戸与一名義で小説「非合法員」(講談社)を発表し、小説家としてデビューする。以後、海外経験を生かした冒険小説を数多く執筆し、ブラジルの町を舞台にした「山猫の夏」(84年、講談社)で85年の第6回吉川英治文学新人賞を受賞。92年にイラン・イラク国境地帯を描いた「砂のクロニクル」(91年、毎日新聞社)で第5回山本周五郎賞を受賞した。2000年には、日本人とフィリピン人のハーフの少年を主人公とした「虹の谷の五月」(集英社)を刊行し、同年の第123回直木賞を受けた。外浦吾朗名義で人気漫画「ゴルゴ13」の脚本も手がけた。05年から執筆を始めた「満州国演義」(新潮社)は、15年2月に完結編となる第9巻が刊行された。同年4月22日、胸腺がんのため死去。71歳。