カジタ・タカアキ。物理学者。
1959年3月9日、埼玉県生まれ。同県立川越高校を卒業後、埼玉大学理学部物理学科に進学し、81年に卒業。同年、東京大学大学院に進み、のちにノーベル物理学賞(2002年)を受賞する小柴昌俊の研究室に入る。同研究室時代に、岐阜県神岡町(現・飛騨市)の神岡鉱山地下に建設された素粒子観測装置カミオカンデでの実験に加わった。86年、理学博士号を取得。その後、同大理学部助手、宇宙線研究所助手を経て、92年に同研究所助教授となる。カミオカンデの後継施設として96年に稼働開始したスーパーカミオカンデに建設段階から携わり、故戸塚洋二が率いたニュートリノ研究チームに参加。同施設でニュートリノ振動と呼ばれる現象を観測し、それまで質量の有無が不明だったニュートリノに質量があることを証明して98年6月の国際会議で発表した。この報告は、従来ニュートリノの質量をゼロと想定してきた素粒子物理学の標準理論に書き換えを迫る歴史的な発見として世界的な注目を集めた。99年、宇宙線研究所教授。同年、原子物理学で優れた業績を上げた研究者を表彰する仁科記念賞を受賞。2008年に同研究所所長に就任した。12年、日本学士院賞を受賞。15年10月、同様にニュートリノ振動を観測したカナダのクイーンズ大学のアーサー・マクドナルド名誉教授とともに、同年のノーベル物理学賞を受賞した。