ヤナセ・ナオキ。英文学者、翻訳家。
1943年3月2日、北海道生まれ。早稲田大学文学部大学院博士課程修了。77~91年まで成城大学助教授を務め、その後フリーの翻訳家となる。93年、英語など数十カ国語を使って書かれ、翻訳不可能とされていたアイルランドの作家、ジェイムズ・ジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」を8年がかりで完訳し注目を集める。94年、日本翻訳文化賞を受賞。主な翻訳書に「不思議の国のアリス」をはじめとしたルイス・キャロルの作品、ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」などがある。半猫人(はんびょうにん)を自称するほどの猫好きであり、将棋や競馬の愛好家としても知られ、将棋の羽生善治とは、「勝ち続ける力」(新潮文庫)、「対局する言葉」(河出文庫)などの共著がある。近年は、ジョイスの大作「ユリシーズ」の全訳を目指し、文芸誌に連載中だった。2016年7月30日、肺炎のため死去。73歳。