マーガレット・サッチャー。政治家。
1925年10月13日、イギリス、リンカーンシャー州グランサム生まれ。59年に保守党下院議員に初当選し、70~74年のヒース政権では教育科学大臣を務めた。75年2月の保守党大会で党首に就任。76年に党首として旧ソ連を痛烈に批判したことから、旧ソ連国防省機関紙によって「鉄の女」(iron lady)と名づけられ、以後はそのイメージが定着した。79年5月に行われた総選挙で勝利し、イギリス初の女性首相になる。当時の同国は、イギリス病と呼ばれるほどの財政悪化や景気の低迷、インフレなどに苦しんでいたが、新自由主義的な政治理念に基づく「小さな政府」を掲げて、国営企業の民営化、公共投資の削減、労働組合の抑制、減税、規制緩和などを実施。また、外交面ではアメリカのレーガン政権とともに共産主義諸国に対して強硬な姿勢を貫いたほか、82年4月にアルゼンチンとの間で勃発したフォークランド紛争でも軍事行動を主導した。妥協を嫌ったその政治理念は、サッチャー主義(サッチャリズム)と称された。一連の施策による国民間の格差拡大などを理由に批判されることも多かったが、90年11月に辞任するまでの11年半にわたり長期政権を担った。2002年の政界引退後は認知症を患い、公の席に姿を見せる機会はほとんどなくなった。13年4月8日、脳卒中のため死去。87歳。