アンゲラ・メルケル。政治家、理論物理学者。
1954年7月17日、西ドイツ(当時)のハンブルク生まれ。生後まもなく、牧師である父親の仕事の関係で旧東ドイツのブランデンブルク州に移住。ライプツィヒ大学で物理学を専攻し、78~90年に旧東ドイツ科学アカデミー付属物理化学中央研究所に研究員として勤務。その間、86年に理学博士号を取得。89年のベルリンの壁崩壊をきっかけに政治活動を始め、旧東ドイツの市民政党に入り副報道官を務める。90年、キリスト教民主同盟(CDU)に入党。同年にドイツ連邦議会議員となり、翌年、コール首相に抜擢(ばってき)され、女性・青少年相に就任する。その後、環境相、同党幹事長を歴任し、2000年同党党首。05年11月、前月の総選挙を受けて誕生したキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)の連立政権で首相に就任。ドイツ歴代最年少(51歳)で、史上初の女性首相となった。09年9月の総選挙後、自由民主党(FDP)と新たに連立政権を組み、10月首相に再任。13年9月の総選挙ではCDU・CSUが大勝し、議席を失ったFDPに代わって再びSPDと連立政権を樹立して3期目の首相を務めている。停滞していたドイツ経済を回復させたほか、欧州連合(EU)によるギリシャの金融支援やウクライナ問題などでも主導的な役割を果たしており、ヨーロッパで最も影響力のある政治家の一人となっている。06~09年、11~14年に、アメリカの経済誌「フォーブス」の「世界で最も影響力のある女性100人」の1位に選ばれている。15年3月、7年ぶりに来日し、安倍晋三首相と首脳会談を行った。また、都内で開いた講演では、ウクライナ、過激派組織「イスラム国」、ギリシャの債務危機の問題などについて語ったほか、東アジアにおける近隣諸国の緊張関係について、第二次世界大戦後のドイツの謝罪や隣国であるフランスの寛容さに言及しながら、平和的な解決策の重要性をスピーチした。