アンジェイ・ワイダ。映画監督。
1926年3月6日、ポーランド北東部ポドラシェ県生まれ。42年、反ナチス運動に参加。第二次世界大戦後、日本の浮世絵に触れたことを機にクラクフ美術アカデミーで絵画を学ぶが、52年に国立ウッチ映画大学に入学し演出を学ぶ。54年、反ナチス運動の経験を基にした「世代」で映画監督デビュー。ワルシャワ武装蜂起を描いた「地下水道」(56年)では、カンヌ国際映画祭審査員特別賞、若きテロリストの姿を描いた代表作「灰とダイヤモンド」(58年)では、ベネチア国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。3作品は「抵抗3部作」と呼ばれ、世界的に高い評価を受ける。77年には労働英雄となった男の悲劇を描いた「大理石の男」を発表。81年、同作の続編で、ポーランドの自主管理労働組合「連帯」の運動を取り上げた「鉄の男」で、カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールを受賞した。同年、反体制的な作風から映画人協会会長の職を追われるが、弾圧を受けながらも創作活動を継続。89~91年にはポーランドの上院議員を務める。2000年、アメリカのアカデミー賞名誉賞を受賞。その他の主な作品に、「カティンの森」(07年)、「ワレサ 連帯の男」(13年)などがある。日本とも関わりが深く、1987年に第3回京都賞を受賞。94年、同賞の賞金を基にポーランドのクラクフに日本美術技術博物館「マンガ」を設立した。89年には、歌舞伎俳優の坂東玉三郎主演の舞台「ナスターシャ」を演出。同作は94年に映画化された。2016年10月9日死去。90歳。