ミヤオ・トミコ。作家。
1926年4月13日、高知県生まれ。17歳で結婚後、旧満州(現・中国東北部)に渡り、第二次世界大戦後に帰国してから作家を志す。62年、前田とみ子名義で執筆した処女作「連」で女流新人賞を受賞。66年、離婚後に再婚した夫と上京し、雑誌編集の仕事の傍ら、芸妓娼妓紹介業を営む生家をモデルに書き上げた「櫂(かい)」(筑摩書房刊)で73年に第9回太宰治賞を受賞して、本格的な作家活動に入る。77年「寒椿(かんつばき)」(新潮社刊)で第16回女流文学賞、79年には琴の道に生きる女性2人の姿を描いた「一弦の琴」(講談社刊)で第80回直木賞を受賞。83年には「序の舞」(82年、朝日新聞社刊)で第17回吉川英治文学賞を受賞するなど、数多くの受賞歴がある。時代に翻弄(ほんろう)されながらもたくましく生きる女性を描いた作風で、多くの読者に支持された。「櫂」、「序の舞」のほか、「陽暉楼(ようきろう)」(76年、筑摩書房刊)、「鬼龍院花子の生涯」(80年、文藝春秋刊)、「天璋院篤姫(てんしょういんあつひめ)」(84年、講談社刊)、「藏」(93年、毎日新聞社刊)、「クレオパトラ」(96年、朝日新聞社刊)、「天涯の花」(98年、集英社刊)など、映像化、舞台化された作品も多い。また、「朱夏」(85年、集英社刊)、「春燈」(88年、新潮社刊)、「仁淀川」(2000年、新潮社刊)などの自伝的作品も手がけている。1989年に紫綬褒章を受章、2008年に菊池寛賞を受賞。09年に文化功労者となる。14年12月30日、老衰のため死去。88歳。