ニコラウス・アーノンクール。指揮者、チェロ奏者。
1929年12月6日、ドイツのベルリン生まれ。ウィーン音楽院でチェロを学び、52~69年までウィーン交響楽団でチェロ奏者を務める。翌53年、バロック音楽や古典派の音楽をその時代の楽器や奏法で演奏する古楽器の楽団「ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」をバイオリニストの妻アリスらとともに結成。古楽器演奏の第一人者として活躍する。70年代以降は指揮者としても活動し、チューリッヒ歌劇場を中心にオペラの指揮などを行う。80年代からはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、90年代からはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮。鍵盤楽器奏者のグスタフ・レオンハルトとともに70年代から約20年をかけて200曲にも及ぶバッハのカンタータ全曲録音を完成させ、芸術分野のノーベル賞と呼ばれるエラスムス賞を受賞した。また、73~93年にはザルツブルク・モーツァルテウム音楽院教授として、演奏実践に関する講義を行う。80年11月に初来日し、2006年、10年にも来日公演を行って日本のファンを魅了。05年には、科学や芸術の発展に寄与した人に贈られる第21回京都賞(主催・稲盛財団)を思想・芸術部門で受賞した。著書に「音楽は対話である」(1992年、アカデミアミュージック)、「古楽とは何か 言語としての音楽」(97年、音楽之友社)などがある。2015年12月5日、演奏活動からの引退を表明した。16年3月5日死去。86歳。