タツミ・ヨシヒロ。漫画家。
1935年6月10日、大阪府生まれ。本名、辰巳嘉裕。手塚治虫の作品に影響を受け、中学生のころからマンガを描き始める。51年、「愉快な漂流記」で漫画家としてデビュー。55年ごろから大人向けのマンガ表現を模索し始め、コマ数を多用した写実的な作風を確立。57年に、自らの手法を「劇画」と名づけた。59年、同様な手法のさいとう・たかをらとともに、劇画工房を結成。その後、劇画ブームが起こるが、自らはブームに背を向け、「大発見」(青林工藝舎)など社会の底辺に生きる人々の姿を描くようになる。特に海外で評価が高く、2005年にフランスのアングレーム国際コミック・フェスティバル特別賞、06年にアメリカのサンディエゴ・コミック・コンベンション特別賞を受賞している。08年に自伝的漫画「劇画漂流」(青林工藝舎)を発表し、翌09年に同作で第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。また、10年には同作で漫画界のアカデミー賞とも呼ばれるアメリカのアイズナー賞を2部門で受賞した。11年、シンガポールのエリック・クー監督が同作などをベースにしたアニメ映画「TATSUMI マンガに革命を起こした男」を製作。日本では14年に公開された。15年3月7日、悪性リンパ腫のため死去。79歳。