ナカ・カズヤ。挿絵画家。
1911年1月29日、大阪府生まれ。本名、中福寿。27年に挿絵画家の小田富弥に師事し、29年、直木三十五の新聞小説「本朝野士(やし)縁起」の挿絵で画家としてデビュー。以後、代表作である池波正太郎の「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」各シリーズをはじめ、吉川英治、山手樹一郎(きいちろう)、山本周五郎、野村胡堂(こどう)、海音寺潮五郎、藤沢周平など、数多くの時代小説作家の挿絵を担当。墨の濃淡を生かした情感のある作風で知られる。2002年に読売新聞で乙川優三郎の連載小説「冬の標」の挿絵、09年に朝日新聞で同氏の連載小説「麗しき花実」の挿絵を担当するなど、90歳を超えても現役最長老の挿絵画家として活躍。103歳を迎えた14年には、三男で作家である逢坂剛(おうさかごう)の「平蔵狩り」(文藝春秋)の装画と挿絵を担当した。1993年、第41回菊池寛賞を受賞。96年、勲四等瑞宝章受章。2014年、第48回吉川英治文化賞を受賞。著書に、「挿絵画家・中一弥」(03年、集英社)がある。15年10月27日、肺炎のため死去。104歳。