食事の間に10回も席を立つという意味。夏の禹王(うおう)が、1度の食事中に賢者から意見を求めるために10回も席を立ったという故事から、善政を実行するために熱心であることをたとえていう。「一饋に十度(とたび)立つ」と読み下し、「一饋に七度(ななたび)立つ」という言い方もある。
『淮南子(えなんじ)―氾論訓』に、「禹之時以二五音一聴レ治(略)一饋而十起、一沐而三捉レ髪、以労二天下之民一」とある。
〔例〕「中国の故事にあるような一饋十起の心をもって政務に精進するような政治家は、今の日本には望めそうにありません」などと使う。
〔類〕吐哺握髪(とほあくはつ)/握髪吐哺(あくはつとほ)