鷸(しぎ)と蚌(はまぐり)が争っている間に、漁師が両者の争いをいいことに、両方とも簡単につかまえてしまったという中国の『戦国策(せんごくさく)―燕策』にある故事から、争いに夢中になっている当事者のすきにつけ入って、第3者が労せずに利益を得ること。互いに譲り合わず争ってばかりいると、第3者に利益をとられてしまうことをいう。「漁父之利」とも書く。
〔例〕「秋夫くん、ぼくときみは春子さんのことでは、もっと冷静に話し合い、賢明な態度をとるべきだった。そうすれば少なくとも2人のうちのどちらかが幸せをつかんでいただろう。しかるにどうだ、ぼくたちが言い争っているすきに、夏彦が春子さんを奪い去ってしまった。漁夫之利を得たのは夏彦だった」などのように使う。
〔類〕鷸蚌之争(いつぼうのあらそい)