合理的選択に基づく伝統的なファイナンス理論に、認知バイアスの存在や感情の働き、計算能力の限界などに代表される心理学の知見を取り入れ、より現実的で多用な意思決定に基づいた投資行動を分析しようとする分野。株式市場や債券市場の資産価格が、資産の実体的な価値(ファンダメンタルズ)を反映して動かないアノマリー(anomaly)と呼ばれる現象は、伝統的なファイナンス理論や経済学では説明が難しい。このアノマリーを解明するため、行動ファイナンスに関する研究は古くから精力的に進められ、行動経済学(behavioral economics)の発展を牽引してきた。2013年には、行動ファイナンスの先駆的な研究者の一人であるロバート・シラー(Robert J. Shiller 1946~)が、資産価格の実証研究に対する貢献によって、ユージン・ファーマ(Eugene F. Fama 1939~)、ラース・ハンセン(Lars P. Hansen 1952~)とともにノーベル経済学賞を受賞した。