高度成長期の1965年10月から70年7月までの5年近く(57カ月)続いた第二次大戦後最長の景気拡張期。天つ神の命をうけ日本列島を造ったとされる男神「伊弉諾尊(いざなぎのみこと)」(国造り神話)が由来。それ以前の神武景気(初代天皇以来の好景気との意味、31カ月継続)と、岩戸景気(天照大神が天の岩戸に隠れて以来の好景気との意味、42カ月継続)を上回り、日本が始まって以来の好景気との意味が込められている。2002年1月を谷として07年10月まで(69カ月)継続した戦後14番目の景気拡張は、06年11月で好景気の期間としてはいざなぎ景気を超えた(09年1月の内閣府の景気動向指数研究会で景気の山が07年10月に暫定的に設定され拡張期間が確定)。今次の景気に、どのような名前が付けられるのであろうか。過去の命名は期間の長さとともに経済成長の勢いをも加味した結果と考えられるが、今次景気の経済成長率はゼロすれすれであった。いざなぎの前が何かをうんぬんするよりも、本来ならば小泉純一郎元首相の構造改革路線に牽引された「日本再生景気」や「デフレ脱却景気」などが期待される名称であるが、08年9月のリーマン・ショック後の景気の急速な落ち込みを目の当たりにした後では、与謝野馨経済財政担当相(当時)が記者会見でとっさに名付けたという「だらだら陽炎景気」が案外的を射ているのかもしれない。