2005年末から06年初にかけて、歳出入一体改革の議論を進めた経済財政諮問会議の席上、竹中平蔵総務相と与謝野馨経済財政・金融相(ともに当時)との間で生じた論争。経済成長率は税収見通し、長期金利は国債の利払いを表す目安であり、竹中氏は基礎的財政収支が均衡している状態を想定し、名目成長率の割合で増える歳入が、長期金利の率で増える歳出を上回らなければ、財政赤字は改善しないというドーマー条件の適切性を主張した。一方、与謝野氏や民間議員の吉川洋東京大学教授は、歴史上、財政の持続可能性が懸念されていなかった国においても、長期金利は経済成長率よりも高いのが常態であると切り返した。財政再建に関しての経済学の理論的な話か、インフレ待望論としての日本経済の現実認識の話かあいまいな面があった半面、それによってどのような政策が必要となるかといった現実問題に直結する論争であったが、結果的にはネズミ一匹も出ない泰山鳴動に終わった。