京都議定書では、国ごとに温暖化ガスの削減量を定めているが、この割り当てを超えて削減した分は、その国の余剰として他国と取引(売買)でき、また、技術協力などで他国の排出量を削減させた分を自国の削減量にプラスすることができる。このような排出量・削減量を国・企業などの取引主体が売買するのが排出量取引である。京都議定書の発効にともなって、日本は2008~12年の温暖化ガスの平均排出量を1990年比で6%削減する義務を負うが、日本の10年の排出量は1990年比で約7%増加すると見込まれ、削減義務達成には約13%の削減が必要。90年時点の温暖化ガスの排出量は二酸化炭素に換算して約12億tで、1億5000万tの削減が必要となる。2005年4月、政府は京都議定書目標達成計画を決定し、10年度時点の削減目標を提示するなど、具体的な対応の段階に入っている。04年12月には、日本国内の企業などが参加して、途上国などの温暖化ガス削減事業に投資し、削減分の排出権を取得する日本温暖化ガス削減基金が設立された。排出量取引制度としてはイギリス政府により創設されたものがあり、日本では08年10月に企業等の自主的な参加による国内排出量取引制度(排出量取引の国内統合市場の試行的実施)が始まった。