2008年9月15日のリーマン・ショックによって、一挙に顕在化したサブプライムローン問題に対して、欧米の銀行の資金繰りを支援するため、各国中央銀行は総額約19兆円のドル資金を自国市場に供給する対策を発表した。日本銀行は、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)との総額約6兆3000億円の通貨スワップ協定(中央銀行が外貨を相互に融通し合う協定)を結ぶとともに、外国銀行を含む金融機関に公開市場操作を通じてドル資金を貸し出した。FRBは、日銀のみならず欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行、カナダ中央銀行、スイス国立銀行とも通貨スワップ協定を結び、金融政策の国際協調路線を敷いた。08年12月2日には、国内金融市場のひっ迫を前に日銀は資金繰り支援策を決定し、金融機関に資金供給する際の担保として要求する社債の格付けを、これまでのシングルA格相当以上から、トリプルB格相当以上にまで引き下げた。さらに日銀は、社債・コマーシャルペーパー(CP)・手形など企業向け債権を担保にした金融機関向け貸し出しとして、最長3カ月までの長めの資金を無担保コール翌日物金利と同じ水準で貸すことを決めた。これらに加えて08年12月19日には、日銀は追加的な金融緩和策として、CPの買い取り、長期国債の買い入れ増額を決めた。CPの買い取りは、政府が企業の資金繰りを支援するため、政府系金融機関である日本政策投資銀行の資金を使い、企業のCPを直接購入する政策を08年12月12日に発表した追加経済対策に盛り込んでおり、日銀にも同様の施策を促したもの。日銀のこの決定には、中央銀行の独立性の観点から疑問を呈する向きもある。