「所得拡大促進税制」として2013年度から実施された、企業に賃上げを促す法人減税制度。当初、15年度までの2年間、企業が給与総額を5%以上増やした場合、その原資の10%を法人税額から差し引くとされた。アベノミクスの成否を握る課題の一つである賃上げが実施されないと、デフレ脱却(物価上昇)と同時に家計の実質的な購買力が低下するため、経済の好循環は期待できないからである。
さらに、13年12月にまとめられた税制改正大綱により、同制度は17年度まで2年延長され、15年度までは給与総額2~3%増も対象とするなどの条件緩和策が図られることとなった。また、併せて法人税の復興増税も1年前倒しで廃止されている。しかし、赤字企業の場合法人税を支払っていないため、現実には対象企業が少なく、導入当初の制度で全上場企業の17%、適用が緩和された拡充制度でも24%程度の見込みとなっている。