21世紀に世界全体で持続可能な開発を実現させるための行動綱領。1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット、UNCED ; United Nations Conference on Environment and Development)で採択。(1)社会的・経済的側面、(2)開発資源の保護と管理、(3)主たるグループの役割強化、(4)実施手段、の四つのセクションから成る。具体的には、(1)では発展途上国の持続可能な開発促進の国際協力、貧困撲滅、人口動態の変更、健康、人間居住の開発などを掲げ、(2)では大気保全、陸上資源の計画管理統合アプローチ、森林減少対策、砂漠化と干ばつ防止、持続可能な山林開発、持続可能な農業と農村開発の促進、生物多様性、海洋、淡水資源、有害廃棄物問題など、人類全体にかかわる課題をあげている。これを機に世界では、アジェンダ21の実現に向けて、各国共通の枠組み作りが開始された。特に2002年8月に南アフリカ共和国のヨハネスブルクで開かれた、持続可能な開発に関する世界首脳会議(環境開発サミット)は、日欧の主要国を含む104カ国の首脳、180カ国の政府代表が参加し、アジェンダ21の実現のための行動計画作成を目指した。会議では、(1)先進国のODA(政府開発援助)をGNP(国民総生産)の0.7%まで増額、(2)先進国市場に対する途上国のアクセスを改善、(3)京都議定書批准国は非批准国に対して適切な時期の批准を促す(京都議定書はその後05年に発効)、(4)途上国で下水道など衛生施設を利用できない人口を15年までに半減、など大半の協議項目で合意が成立した。しかし、先進国が温暖化ガス排出権取引(→「排出権取引」)などの市場原理をテコにした環境対策を重視するのに対して、途上国の多くが環境保全のための貿易規制を求めたため、具体的な行動計画には踏み込めず、環境保全と自由貿易体制をどう両立させるかという新たな南北問題が浮き彫りになった。その後は2年を1サイクルとして特定のテーマを取り上げ、「ヨハネスブルク実施計画」などの実行を図ることを決定した。また、1993年にはアジェンダ21の実現に向けて、持続実施状況を検証する持続可能な発展委員会(CSD ; Commission on Sustainable Development)が国連内に設置された。