1997年12月に京都で開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3、地球温暖化防止京都会議)で採択された議定書。先進国の温室効果ガス削減の数値目標が定められ、各国が2008~12年までにそれを実現する責任を負うことを確認した。また、各国別の目標に加えて、グローバルな視点から目標達成を促進するために、(1)目標を超えて削減した国は超過分を他国に譲ることができる排出量取引、(2)他国の対策事業を行う場合には、その事業によって削減する排出量を権利として受け取る共同実施、(3)先進国が開発途上国の排出削減事業を支援する場合には、その削減量の一部を支援先進国の削減量として計算するクリーン開発メカニズム(CDM clean development mechanism)、などの仕組み(京都メカニズム)も設けられた。05年2月16日に正式に発効し、温暖化ガス削減の法的拘束力が生まれた。削減目標を達成できない場合には、次の約束期間(13年以降)で未達分の30%を追加した削減義務を負い、そのための順守行動計画を策定するほか、排出権売買の資格も停止されることになっている。08~12年の期間内の削減に向けてEUなどではすでに温暖化ガス排出量を減少させているが、1990年排出量比6%の削減義務を負う日本で2004年度の排出量が1990年比で7.4%増加しているように、目標達成が容易でない国も多い。これらの国では、京都メカニズムの活用のほか、国内では環境税の導入などの対策を急ぐ必要がある。また、京都議定書は、最大排出国のアメリカや産油国のサウジアラビアなどが批准をしていない上に、韓国、中国、メキシコ、インド、ブラジルなどの中進国・途上国には削減義務がないなど、世界全体の温暖化ガス排出削減の実効性の面でも問題が多い。2007年12月の第13回気候変動枠組条約締約国会議では、13年以降の枠組み「ポスト京都議定書」作りの行程表「バリ・ロードマップ」が合意された。