EU(欧州連合)統合や北米自由貿易協定の結成を意識したASEAN(Association of Southeast Asian Nations 東南アジア諸国連合)諸国が、1992年1月にシンガポールで開催した第4回首脳会談で創設に合意した域内自由貿易地域。セメント、繊維、肥料、エレクトロニクス、化学製品など15分野の域内関税を2003年までに5%以下に引き下げ(その後前倒しされ、02年1月までに変更)、数量制限、非関税障壁も撤廃することで合意した。1993年1月よりAFTA実現に向けて共通有効特恵関税スキーム(CEPT Common Effective Preferential Tariff)を開始。その後95年12月には第5回首脳会談(バンコク)で、域内の貿易自由化の対象に金融、通信、観光、海運、建設などサービス分野を加えることを定めたバンコク宣言を採択。なお、自由化の目標年次については、後発加盟4カ国(ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)には数年の猶予が与えられた。さらに対象品目の関税完全撤廃を先発加盟6カ国は2010年、後発4カ国は15年までに実施としていたが、04年9月、自動車など11分野で3年前倒しすることに合意。先発6カ国が07年1月から実施している。03年6月の外相会議(プノンペン)では、20年をめどにモノやサービスに加えて労働、資本の域内移動を完全自由化するアセアン経済共同体構想について協議し、同年10月には、政治・安全保障、経済、社会・文化の3分野で20年までに共同体を構築することに合意した。さらにASEANは中国と自由貿易圏(FTA)を形成し、10年の完全撤廃にむけて段階的に関税を引き下げ始めたほか、03年10月には日本ともFTAを含む経済連携協定の枠組みに署名、05年4月から交渉を開始し、07年11月に妥結している。将来は、ASEAN加盟10カ国と日本、韓国、中国の13カ国(アセアン+3)で貿易障壁を撤廃する東アジア自由貿易圏計画を核にして、長期的には、さらに労働や資本の移動自由化も含む北米、ヨーロッパに匹敵する経済圏(東アジア共同体)構想も浮上し、東アジアサミットで、アセアン+3にインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた16カ国で協議を開始している。