欧米主導のIMF運営で、中国など新興国の発言力を高めるための改革。国際通貨基金(IMF)の融資は、国際収支上の問題の是正、並びに強固な経済成長に不可欠な条件の回復に向けた、加盟国の改革や調整政策を緩和する機能を有している。IMF加盟国は、国際収支上の必要に迫られた場合、IMFへ金融支援を要請することができる。IMFでは2010年に、世界経済で影響力を増している中国などの新興国の出資比率を引き上げるとともに、理事会への登用を増やすなど、IMFでの発言力を高める改革に合意した。IMFでは加盟国に1票ずつの議決権が与えられるのではなく、出資比率に連動している。しかし、専務理事のポストはヨーロッパが占め続けるなど、必ずしもIMF内での発言力とは関連していない。こうした欧米の先進国主導の運営に、中国など新興国が反発、10年のIMF改革合意に至った。しかし、事実上の拒否権を持つアメリカ議会での承認が得られず、5年以上たなざらしになっていた。15年12月にようやくアメリカ議会を通過したことで、16年1月27日に新興国の出資比率を高めるIMFの資本増強が発効した。改革により中国の出資比率は6.39%で日本に続く3位に浮上し、インドやロシア、ブラジルも10位以内に入った。