2015年12月、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB、日本銀行に該当)は連邦公開市場委員会(FOMC、日本銀行の金融政策決定会合に該当)で、リーマン・ショック後の08年12月から7年続いた事実上のゼロ金利政策を解除し、利上げを実施した。背景にはアメリカの労働市場の改善を受け、国内景気が安定してきたとの判断がある。もともと、ゼロ金利政策は異例の措置であり、利上げは正常化へ向けた政策変更(出口戦略と呼ばれる)である。アメリカではゼロ金利政策採用後、量的緩和政策(Quantitative easing ; QE)を3次にわたり(08年11月から10年6月、10年11月から11年6月、12年9月から14年10月)実施してきた(→「QE3(量的緩和第3弾)」)。この量的緩和政策については既に14年10月に終了しており、ゼロ金利政策の解除も時間の問題とみられていた。ゼロ金利政策の解除は経済活動の正常化のシグナルである一方、アメリカの金融引き締めにより、国際的な資金循環が新興国からアメリカへ還流にするのではとの見方もある。日本も13年4月以降量的緩和政策を採っているが、その出口戦略も大きな注目材料となっている。