通商交渉の結果として、交渉の当事国に新たに与えることが決まった関税や投資条件などの有利な待遇を、第三国に対しても与える、という通商政策の方針。MFNの歴史は古く、ヨーロッパ諸国の間では、17世紀初頭にさかのぼる。1860年に締結された英仏通商条約におけるMFNは、その後のすべての通商条約のモデルとなったといわれる。MFNには、条件付きMFN、無条件MFNの2種類がある。条件付きMFNは、当事国に与えた譲歩を、見返りの譲歩があった場合にのみ、第三国にも与えるという意味で、実質的な意味は少ない。1948年に成立したGATT条約では、当事国に与えた譲歩が第三国に自動的に適用される無条件MFNが原則として採用された。このことは、GATTの一括交渉ラウンドの推進にあたって重要な意味を持った。(→「GATT」)