輸入品に対して課される課税のことで、最も標準的な通商政策の手段。商品1単位当たりに定額で課される従量関税と、商品1単位の輸入価格に対して一定の比率で課される従価関税の2種類があるが、今日では従価関税が一般的になっている。発展途上国においては現在でも、財政収入の手段としても関税は用いられているが、先進国にとっては、保護貿易の中心的手段としての意味が重要である。GATTの通商交渉は、他の保護貿易の手段を排して、保護貿易を関税に一元化し、さらに関税率自体を通商交渉によって削減するという貿易自由化のプロセスを進めてきた。保護貿易手段の関税への一元化は、交渉のプロセスを簡略にし、自由化の速度を速めることに役立ったといえる。結果的に世界の関税率は低下、日本の場合、1998年の関税額が総輸入額に占める割合は、わずか2.6%にまで下がっている。