課税を通じた輸入品の国内価格つり上げにより、輸入量の抑制を図る関税は、今日、最も重要な輸入抑制の手段であるが、それ以外の輸入抑制につながる障害を総称したものが非関税障壁である。政策による非関税障壁としては、輸入量に上限を設ける政策である輸入数量制限が代表的なものである。そのほかに、輸入手続きの時間やコストの増加につながるような通関制度、保健上の理由などにより商品の輸入を認めないような査証制度、輸入品の販売コスト増加につながる流通システムや商慣行などが、しばしば非関税障壁として問題にされる。低い関税障壁にもかかわらず、日本の輸入規模が欧米と比較して低いのは、非関税障壁によるものだとして、日本をめぐる通商摩擦の焦点となった。