輸出国が輸出カルテルを組むことを通じて、「自主的」に輸出を削減する行為。輸出自主規制は、輸入国側の輸入抑制への意思表示が発端となって行われることが一般的であるが、このとき、輸入国側のイニシアチブにより輸入を抑制する輸入数量制限などの政策がなされる代わりに、輸出国側のイニシアチブにより、輸出を抑制する措置がとられるわけである。たとえば、戦後の日米通商摩擦の展開を見ると、1960年代の繊維、鉄鋼に始まり、70年代のテレビ、80年代の自動車など、通商摩擦の対象となった日本の輸出品について、輸出自主規制による決着のパターンが一般的であった。輸出自主規制が頻繁に行われた背景としては、輸入国が特定の商品に対して障壁を設けるセーフガード措置に対してGATTが厳しい制約を設けていたため、GATTによる明確な禁止規定のなかった輸出自主規制が代用されたという点が一番にあげられる。また、輸出自主規制によっても輸入制限措置によっても、輸入品の価格は上昇するが、輸出自主規制の場合、価格上昇による利益を輸出企業が受け取ることになるので、これを輸出国への代償として、紛争のエスカレートを避けるねらいもあったと考えられる。だが、WTO(世界貿易機関)の条約は、輸出自主規制のような灰色措置について、一定期間後に撤廃の措置をとっている。