国際投資のうち、海外企業の経営支配を目的として行われる投資のこと。これに対して、経営支配をめざさない、資産運用上の投資は間接投資とよばれる。世界的な直接投資の動向を見ると、1990年代終盤からの増勢が際立っている。99年の世界の直接投資は、海外からの直接投資流入をカウントした対内投資ベースで、前年比27.3%増の8655億ドルに伸長した。90年代後半における直接投資の大幅拡大を牽引したのは、欧米諸国を中心とする先進国であり、とくにクロスボーダーM&Aの分野では、一部の国の影響力が際立っている。一方、発展途上国をめぐる直接投資も、98年にはアジア通貨危機の影響から低迷したが、99年には回復している。発展途上国向けの対内直接投資の数字を見ると、99年は前年比15.7%増の2076億ドルと、初めて2000億ドル台が記録されている。90年代における発展途上国向けの直接投資のうち、約8割は中南米と東アジアによって占められるが、90年代後半における投資動向を見ると、中南米は民営化案件を中心に増加傾向を示し、98年以降、投資受入額で東アジアを上回った。(→「対日直接投資」)