ロシア系アメリカ人の経済学者ワシリー・レオンチェフ(1906~99)によって発見されたアメリカの貿易パターンに関する逆説的な実証研究の結果。レオンチェフは、自ら開発した産業連関表(最終財が造られるまでの中間財の流れを総括したデータ表)による「投入産出分析」を用い、1950年代に「ヘクシャー・オリーン定理」の検証をアメリカの貿易を対象にして行った。その結果、当時、世界一の資本豊富国と考えられたアメリカの輸出には、輸入と比べて相対的により多くの労働が使用されていることが発見された。「資本豊富国は、資本集約的な財を輸出する」という、標準的なへクシャー・オリーン定理の予測からすれば予想外のこの結果は、「レオンチェフ・パラドックス」とよばれて、戦後の国際貿易理論は、このパラドックスの解明を一つの中心課題として展開されることになった。