1980年代に急速に発展した国際貿易理論の政策的テーマ。複数のプレーヤーが、相手の対応を考慮に入れて行動する状況を分析するゲームの理論を導入することにより、自国にとって有利な外国(企業または政府)の反応を引き出す手段として輸出補助金政策(→「輸出補助金」)が有効な政策である可能性を明らかにした。また、それ以外にも、自国に有利な外国の反応を引き出しうる、さまざまな通商政策がありえることが、この経済理論により示唆されたが、おりからの日米貿易摩擦の激化もあって、これは政治的にも大きな注目を集めた。92年に誕生したクリントン政権は、大統領経済諮問委員会の委員長に戦略的貿易政策の研究者であるローラ・タイソン女史を採用し、また、政権の第1期には、結果主義的な政策や数値目標の考え方を、日米通商交渉において推進したが、そこには戦略的貿易政策的な考え方が色濃く反映されていた。