アメリカ誌「フォーリン・アフェアーズ」1994年3・4月号に掲載された、国際経済学者ポール・クルーグマンの著した論文のタイトル。当時、戦略的貿易政策がもてはやされており、92年に選出されたクリントン大統領も、この考えに沿った政策を貿易政策の中心に立てようとしていた。しかし、クルーグマンはこの論文で、そのような政策がたとえうまく運用されたとしても、アメリカ経済に対してはごくわずかな効果しか与えないであろうことを指摘した。アメリカの輸出がGDP(国内総生産)のたかだか10%にしかすぎないことを考えれば、巧妙に行われたところで輸出の数%増加にしかつながらないような戦略的貿易政策が国民経済に与える影響は、まことに微々たるものにしかすぎない、というのが、クルーグマンの議論のポイント。