アメリカ政府が2009年9月に乗用車用などの中国製タイヤに上乗せ関税をかける特別セーフガード(緊急輸入制限)の発動を決めたこと。関税率4%に、1年目から3年目まで35~25%を上乗せする。08年に中国からアメリカへのタイヤ輸出は、04年の3倍に増加した。タイヤメーカー労組の所属する全米鉄鋼労働組合が09年4月にアメリカ国際貿易委員会(ITC)に特別セーフガードの発動を提訴、ITCは6月に発動を適当とする判断を示し、1年目から3年目まで55~33%の上乗せ関税を大統領に勧告し、発動に至った。中国製タイヤの輸入制限を契機として、中国とアメリカの貿易摩擦が過熱、中国は、上乗せ関税は不当だとしてWTO(世界貿易機関)に提訴し、対抗措置としてアメリカ製自動車・鶏肉製品の反ダンピング調査を開始した。11月にはアメリカ商務省が、過去最大規模となる、中国製油井管に最大約99%の反ダンピング課税適用を仮決定している。このほか、両国間では、アメリカ製の映画や音楽ソフトを含む幅広い出版物を規制する中国の国内制度をWTO協定違反としてアメリカがWTOに提訴、7月に勝訴した。アメリカは、また、6月にEU(欧州連合)とともに中国の鉱物資源の輸出制限措置もWTOに提訴している。