2017年4月にWTO(世界貿易機関)が発表した16年の世界貿易(商品貿易、名目輸出)は、15兆4640億ドルとなり、前年比3.3%の減少であった。15年より減少幅が小さくなった理由は、アメリカドルの実効為替レート上昇による他通貨使用国の貿易額押し下げと原油価格など資源価格低下である。商品貿易の輸出はすべての地域でマイナス。商品貿易の輸入は15兆7990億ドル、前年比3.2%の減少で、ヨーロッパ以外においてすべてマイナスとなった。商業サービスの輸出は0.1%成長し、4兆7700億ドルで、アジアが0.9%成長と最も強いパーフォーマンスを示した。また、国別貿易額ではアメリカが首位となり、中国は4年ぶりに首位の座から転落している。中国の減速は、新興国需要の低迷が大きいとみられるが、先進国向け輸出の落ち込みもあり、経済発展とともに輸出競争力に陰りが出ていると考えられる。貿易量の伸び率は前年比1.3%、WTOの算出した経済成長率同2.3%よりも低く、IMF(国際通貨基金)は、貿易拡大のペースが世界の経済成長率と比べて低いスロートレード現象が12年から続いている、と分析している。