金融システム(さまざまな金融取引を行うために各経済主体が利用する金融市場や金融機関などの全体)の健全性・安定性を維持するための政策。健全な金融システムを維持するためには、リスクの引き受け・測定・管理を適切に行う金融機関こそが競争に勝ち残れるという意味での市場規律の働く環境を作り出すことが第1の原則である。同時に、個別の金融機関の破たんが、金融システム全体の危機につながるシステミック・リスクを防ぐためには、中央銀行ネットワークシステムを中心とした決済システム(手形・小切手、銀行口座振替・送金などの手段による支払決済を集中的に行う仕組み)それ自体を改善することに加えて、政府・中央銀行による適切な金融規制監督もまた必要とされる。金融規制監督を具体的にみると、個別の金融機関に普段から健全な経営を心掛けさせる事前的な手段として、新BIS規制などの健全経営規制や、金融機関に対する検査・考査(金融規制監督当局や中央銀行が実際に経営内容を立ち入り調査すること)などがある。また、個々の金融機関の経営危機が金融システム全体に波及することを防止する事後的な手段として、中央銀行による最後の貸し手機能(金融システム全体の混乱が生じることを防ぐために必要な資金を貸し出すこと)や預金保険制度などの、いわゆるセーフティー・ネット(安全網)がある。