金融機関が保有する貸し出しなどの債権のうち、元利金の回収に何らかの懸念があるもの。1998年に成立した金融再生法に基づいて金融機関が開示している債権内容のうちで、不良債権とは、(1)破産更生債権およびこれに準ずる債権、(2)危険債権、(3)要管理債権(3カ月以上の延滞債権および貸出条件緩和債権)の合計のことである(通称、金融再生法開示債権)。不良債権残高は、ピーク時の2002年3月期決算において、大手銀行(都市銀行・長期信用銀行・信託銀行)で28.4兆円、地方銀行・第二地方銀行・信用金庫・信用組合を含めた金融機関合計で52.4兆円の巨額に上ったが、その後は、日本経済が景気回復に向かったことや日本銀行の量的緩和政策の効果などから次第に減少した。02年10月の「金融再生プログラム」では、大手銀行の不良債権比率(総与信残高に占める不良債権の比率)を02年3月期の8%台から05年3月期には4%台に半減させることを求めていたが、05年3月期の実績は2.9%と目標を達成した。さらに、07年3月期までに大手銀行の不良債権比率は1.5%まで低下し、不良債権問題からほぼ脱却した。もっとも、地方銀行・第二地方銀行、信用金庫・信用組合の不良債権比率は07年3月期において各4.0%、6.3%と、依然として高めであり、地方銀行以下の業態では不良債権処理が遅れている。