一部の富裕層や機関投資家を対象として私的に組成され、アービトラージ型、グローバル・マクロ型、イベント・ドリブン型などさまざまな戦略を駆使して、買いと売りの巧妙な組み合わせによりハイリターンをねらう投資ファンド。1998年9月には、アメリカのロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)が破綻寸前に追い込まれたことなどから、ヘッジファンドへの資金流入は一度沈静化したが、2000年以降の世界的な株安と低金利局面で、再び拡大傾向となった。BIS(国際決済銀行)調査によれば、07年5月末における世界のヘッジファンド数は約9000、資産規模は約1.6兆ドルと推計された。運用対象も多様化しており、通常の株式、債券、通貨などのほか、企業合併・買収なども手がけるようになった。しかし、08年に入るとサブプライムローン問題の影響で運用成績が悪化したため、投資家の解約が急増して解散に追い込まれるヘッジファンドが相次いだ。世界的な金融危機の中で、「影の金融システム」ともいうべきヘッジファンドにも金融規制の網をかぶせるべきだとする意見が台頭している。