企業が、設備投資や在庫投資のために必要な資金調達をどのように行うかという問題を中心としたファイナンス(金融)の一分野。実務の世界では企業財務ともよばれる。企業にとっての資金調達手段は、利益の内部留保や既存設備に対する減価償却などからなる内部資金と、新たに外部から調達する外部資金に分かれる。外部資金の調達手段には、株式、社債、借入金などがある。日本の企業の資本・負債構成をみると、1990年代後半から過剰借入金の返済に加えて、不良債権の最終処理も進められたことから、2000年代前半にかけて借入金残高が大幅に減少した。一方、株式による毎年度の資金調達はさほど多額ではなかったものの、03年ごろから株価が上昇したことによって、株式時価総額は急速な回復を遂げてた。このため、07年末時点における企業の資本・負債構成は、株式の比率が借入金の比率を大幅に上回るに至った。この間において、メーンバンクを中心とした株式持ち合い関係が解消に向かったことと併せて、日本のコーポレート・ガバナンス(企業価値の最大化を目指して企業経営が効率的に行われるように経営者を規律付けする仕組み)は、従来のメーンバンク中心型から株主重視型へと変貌を迫られるようになった。もっとも、サブプライムローン問題を契機とした07年夏以降の株価急落が、日本企業の資本・負債構成やコーポレート・ガバナンス面に及ぼす影響には、注意しておく必要がある。