企業、家計、地方公共団体などが保有する預金など通貨量の残高(金融機関や中央政府が保有する預金などは対象外)。日本銀行が旧マネーサプライ統計を2008年5月分から大幅改訂したマネーストック統計では、現金通貨に当座預金や普通預金などの要求払い預金を加えたものをM1とよび、M1に定期性預金や外貨預金を追加したものをM2、M3とよんでいる。M2の対象金融機関は、旧マネーサプライ統計のM2+CDと同様に、国内銀行(除く、ゆうちょ銀行)、在日外国銀行、信金中金・信用金庫、農林中金、商工中金である。一方、M1、M3の対象金融機関は、M2対象金融機関にゆうちょ銀行とその他金融機関(信用組合、労働金庫、農漁協など)を加えたものである。08年10月のM1(平均残高)は473兆円、M2(同)は732兆円、M3(同)は1030兆円であった。日本銀行は、第一次石油危機の起きた1973~74年に、マネーサプライの急増もあって大インフレーションを生じさせたことへの深い反省に基づいて、78年の第3四半期から、旧マネーサプライ統計の中心指標としてのM2(後にM2+CD)の予測値を公表するようになった。しかし、80年代後半には、再びマネーサプライの急増を見逃したこともあって地価・株価のバブルを発生させ、90年代に入ってからは、バブルの崩壊により、一転してマネーサプライの急減と深刻なデフレーションを招いた。もっとも、最近ではマネーサプライと物価の関係が不安定化していることから、日本のみならず各国の金融政策の運営においてマネーサプライはかつてのように重視されなくなってきている。