投資超過で不足資金を調達したい経済主体(たとえば企業)の発行する証券を、貯蓄超過で余剰資金を運用したい経済主体(たとえば家計)が、そのまま直接的に購入するという形での資金の流れ。借り手としての企業などの発行する金融負債のことを本源的証券とよび、たとえば株式、社債などが挙げられる。したがって、直接金融とは、貸し手としての家計などが、株式、社債などをそのままの形で自分のポートフォリオに組み込む金融取引のことである。通常は証券業者が、資本市場におけるアンダーライター(引受業者)として新規に発行される本源的証券の引き受け・販売を行ったり、ブローカー(委託売買業者)あるいはディーラー(自己売買業者)として既発の本源的証券の売買を仲介したりする。日本では、従来において直接金融は未発達であったが、1980年代後半のバブル期には、企業が株式市場関連での資金調達を活発化させた。また、バブル崩壊後の90年代後半以降は、企業が社債市場やCP市場からの資金調達を活発化させるなど、直接金融が徐々に拡大している。