自由民主党の小泉純一郎内閣の下で2007年10月に発足したばかりの日本郵政グループの民営化路線を大幅に見直すこと。09年9月に成立した鳩山由紀夫内閣(民主党・社会民主党・国民新党の連立政権)は、10月20日に持ち株会社「日本郵政」の下での郵便事業会社・郵便局会社・ゆうちょ銀行・かんぽ生命の4分社化体制を見直し、郵便・郵便貯金・簡易保険を全国の郵便局で一体的に提供することを骨子とする「郵政改革の基本方針」を閣議決定した。これを受けて、日本郵政の西川善文社長は辞任し、後任には斎藤次郎元大蔵次官が就任した。さらに、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の政府保有株について17年9月までに完全売却するという従来の方針を全面的に否定する形で、12月4日に「株式売却凍結法」が国会で成立した。鳩山内閣による軌道修正後の日本郵政改革は、郵便・郵便貯金・簡易保険の一体化サービスを全国一律に提供することを中心に進められると見られるが、採算を度外視した「親方日の丸」的経営に逆戻りしてしまうことや、「暗黙の政府保証」を背景にした民業圧迫が続くことなどを懸念する向きが少なくない。