中小企業金融円滑化法の下で金利減免や返済猶予など返済条件の変更を認められたものの、同法が期限切れした後は不良債権となる可能性が高い貸し出し案件のこと。2009年12月に、民主党連立政権の下で金融相に就任した国民新党の亀井静香が主導して制定した中小企業金融円滑化法は、中小企業の債務について返済条件の変更要請に応える義務を金融機関に課しているが、金融庁は同法の施行に合わせて検査方針を改定し、将来の経営改善を先取りする形で、金融機関が返済条件を変更しても不良債権とは認定しなくて済む措置を講じた。同法は、11年3月末に期限を迎えたものの、東日本大震災やヨーロッパ債務危機など中小企業にとっての厳しい経営環境を踏まえて、1年間延長された後、さらにもう1年延長される見込みである。同法は、中小企業の資金繰りを助け、当面の倒産を減少させる効果はある一方で、返済条件の変更が経営改善になかなか結びつかないのも事実であり、潜在的な不良債権を増加させていると指摘されている。