将来における外貨の売買をあらかじめ約束しておく(あるいは、その権利を売買する)契約。1ドル=120円台まで円安・ドル高が進んだ2005~07年ごろに、多くの中小企業が銀行の勧めもあって、一層の円安・ドル高に備えるべく、将来においてドルを購入する先物契約などを結んだ。しかし、その後は円高・ドル安に転じ、10~11年にかけては歴史的な超円高局面になったことで、為替差損を抱える中小企業が増加した。10年10月に国会で為替デリバティブによる中小企業の経営危機問題が取り上げられたことを受けて、11年1月には金融庁が実態調査に乗り出し、為替デリバティブ契約数が特に多いメガバンク3行は、多額の損失を抱えた企業を対象に資金繰りを支えるための新規融資などを実行している。また、全国銀行協会の斡旋によるADR(裁判外紛争解決手段)を通じて、銀行が為替デリバティブ契約を解約するための清算金や損失の一部を負担する和解件数が増加している。