日本銀行が2012年10月30日の政策委員会金融政策決定会合で打ち出した、銀行など民間金融機関の貸し出しを支援するための資金供給制度。民間金融機関の積極的な貸し出し行動を促すことを狙いとして、民間金融機関が貸し出しを増やした場合に、当該金融機関が希望すれば、日銀が貸出増加分全額を低金利(当面は0.1%)で最長4年まで融資する。日本銀行が10年6月に導入した成長基盤強化支援資金供給(→「成長基盤強化のための日銀新貸出制度」)が、日本経済の成長につながると期待される具体的な18分野(研究開発、環境・エネルギーなど)への貸し出しに対象を限定しており、総額5.5兆円の貸出枠が設けられているのに対して、貸出支援基金は政府・地方自治体や金融機関向けを除いた幅広い分野を対象とし、しかも「無制限」と銘打っている。貸出支援基金によって民間金融機関の外貨建て融資や海外企業向け融資が刺激されて円高是正効果を期待する向きもあるものの、日銀としては手放しの金融緩和策であり、政府からの圧力に押し切られた苦しまぎれの策との感は免れない。