地価・株価など資産価格の急騰、銀行貸し出しなど金融機関による信用供与の大幅な増加、短期調達・長期運用による期間ミスマッチの拡大など、様々な形で現れる金融面の不均衡現象。その典型例として、J.K.ガルブレイスが「ファイナンシャル・ユーフォリア」と形容したバブルを挙げることができる。金融的不均衡が累積してバブルが膨張してしまうと、最終的にはその崩壊という形で一挙に不均衡の解きほぐしが始まり、金融機関や金融システムに大きなショックをもたらして、経済活動を急激かつ大幅に縮小させることになる。金融的不均衡に対する中央銀行の金融政策のあり方については、バブルの形成を的確に把握することは困難であるから、バブル崩壊後に積極的な緩和政策をとってソフト・ランディングを目指すべきだとする見解(アメリカ連邦準備制度エコノミストによる「後始末戦略」)と、バブル崩壊後に経済活動の収縮を食い止めることは困難であるから、金融的不均衡が累積する過程で早めに引き締め的な政策を実施すべきだとする見解(国際決済銀行エコノミストによる「風に逆らう戦略」)とに分かれる。