日本銀行が開発した金融危機の兆候を事前に把握するための早期警戒指標。金融動向指数のうち先行指数は、金融危機(金融拡大から金融収縮への転換点)に先行すると考えられる複数の金融指標を選択し、上昇している指標の割合から下落している指標の割合を差し引いて計算される。一方、遅行指数は、金融危機に遅行すると考えられる複数の金融指標を選択し、先行指数と同様にして計算される。先行指数がプラスからマイナスに転じることは近い将来に金融システムが不安定化する可能性を、遅行指数がプラスからマイナスに転じることは金融システムが既に不安定化していた可能性を示す。具体的に、先行指標として採用されているのは、株価(銀行業、不動産業、建設業)、金融機関の貸出判断、企業の資金繰り、企業の利益率、住宅ローン、商品市況の8系列である。遅行指標として採用されているのは、家計・企業の負債、貸出金利、企業の借入金利、マネーサプライのM2・M3、預金残高、地価(全国、大都市)、国債利回り(3年、9年)の11系列である。日本銀行は、年2回公表する「金融システムレポート」の中で、金融危機の予兆を捉える一つの手段として実際に金融動向指数を用いている。