リーマン・ショックの反省に基づいて、金融危機の再発を防止するために、銀行の投機的取引などを厳しく規制するアメリカの新たな業務範囲規制。2015年7月から適用となる。アメリカ外で活動する米銀行や、在米の外国銀行にも適用される。ボルカー元アメリカ連邦準備制度理事会議長が提唱し、10年7月にアメリカ議会で制定された「金融規制改革法(ドッド・フランク法)」に盛り込まれた後、13年12月に連邦準備制度理事会などの金融当局によって、その細則が公表された。ボルカー・ルールの主要ポイントは、(1)銀行の自己勘定による短期売買取引(トレーディング)を禁止、(2)銀行によるヘッジファンドや未公開ファンド(証券取引所に上場されていない株式で運用するファンド)への出資を禁止、(3)銀行による大型のM&A(合併・買収)を禁止、などである。ただし、銀行業界からの反発を考慮して、自己勘定取引のうち、顧客のために市場の安定化を図るマーケットメーク(値付け業務)に関わるものや、リスクを軽減するためのヘッジ取引などについては、規制対象からはずされた。また、当初、日本国債を含めた外国国債も規制対象になるとされていたが、日本の金融庁や日本銀行を含めた各国当局の反対が奏功して、最終的には規制対象外とされた。